【小説】ニィナのお出かけ

はじめにお読みください。




本小説はアンケートフォームに投稿されたものをもとに書きました。

投稿ありがとうございました。

登場人物紹介です

ニィナ
誕生日:3月2日

北欧からやってきたドラゴンの女の子。
メルとポコのひみつのタマゴから生まれたばかり。
ちょっぴりわがままだけど、純粋で怖いもの知らず。

サンリオ公式サイトより引用

口癖は「~でちゅ」です。

※参考:ウィッシュミーメル 過去のブログより

アタチはニィナ。

まだ生まれたばかりのちっちゃいドラゴンの女の子でちゅ。

今日はメルちゃんにお手紙を届けにお出かけ!

楽しみでちゅ!

「お手紙は持ったし、お出かけセットも持ったでちゅ」

「いざ、出発でちゅ!」

ニィナは勇み足でメルちゃんのおうちに向かいました。

ちょっとだけ雲が出ていて涼しく快適です。

いつもとちょっと違う道をあるいてみることにしました。

「るんるん♪」

ニィナはご機嫌です。

大好きなメルちゃんに会えるのですから。

昨日は夜更かししてお手紙を書いていました。

中身は見てからのお楽しみです。

しばらくして、メルちゃんのおうちにたどり着きました。

ドラゴンだから飛ぶ方が早いって?

ニィナはまだちっちゃいのでちょっとしか飛べないのです。

なので、毎日飛ぶ練習をしているのは内緒です。

「着いたでちゅ!」

「メルちゃんいるかなあ?」

ピンポンすると、知らない人が出てきました。

「…ん、どうしたのかな?」

「あの、えっと、メルちゃんはいるでちゅか?」

「でちゅ…?」

「メルちゃんはね、今日は学校なの」

「がっこう?」

「んーと…みんなでお勉強するところだよ」

「ごめんね、ちょうどさっき出ていったところでさ」

「がーん!」

ニィナはしょんぼりしてしまいました。

せっかくお手紙を書いたのに、これでは渡せません。

「またくるでちゅ…」

ニィナが帰ろうとしたとき、知らないお姉さんは言いました。

「あ…せっかく来てくれたんだからさ、ちょっとおうちに上がらない?」

「え、いいんでちゅか?」

「散らかってるけどね…どうぞどうぞ」

「おじゃまします、でちゅ!」

ニィナを招き入れると、お姉さんは何かを持ってきました。

「はい、ケーキだよ」

「まあのんびりしていってよね」

「けーき?」

「知らないんだね、食べると美味しいぞ~?」

「いただきます!」

ニィナがケーキを頬張ると、口いっぱいにホイップクリームの甘さが広がりました。

こんなに美味しい食べ物は初めてなようです。

「おいちい!」

「そんなに嬉しそうな顔、メルちゃんでもしてくれないよ」

「…メルちゃんのために買ってきたやつだけど」

「全部食べていいんでちゅか?」

「あはは、どうぞ食べてね」

ニィナがケーキを食べ終わると、カバンをごそごそし始めました。

「あのね、今日ね、メルちゃんにお手紙を届けにきたんでちゅ」

「そうだったんだね」

「でも、今日は渡せないでちゅ…」

「代わりに渡しとこっか?」

「いいんでちゅか?」

「いいよ、お姉ちゃん絶対見ないから安心してね」

「じゃあ、お願いしますでちゅ!」

ニィナはお姉ちゃんに封筒を渡しました。

お姉ちゃんは窓際にそっと封筒を置くと、ニィナのことをまじまじと見始めました。

「…どうちたんでちゅか?」

「その角ってさ、ホントに生えてるの?」

「もちろんでちゅ」

「触ってもいい?」

「いいでちゅよ~」

そっと触ると、ほんのり暖かく柔らかみがあります。

生まれたてさながらと言ったところでしょうか。

「…へぇ、すごいね」

「羽も生えてるし…本物のドラゴンなんだ」

「といっても、まだ生まれたばかりなんでちゅ」

「早く一人前のドラゴンになりたいな~、でちゅ!」

「あはは、早くなれるといいね」

ニィナは帰り支度を始めました。

すると…

「え、もう帰っちゃうの?」

「メルちゃんいないから、アタチまた来るでちゅ」

「ねえ、今日お姉ちゃん暇だからさ…ちょっとだけお出かけしない?」

「お出かけ…」

お出かけ、という言葉に反応しました。

ニィナは何でも興味津々、毎日がわくわく記念日なのです。

「お出かけするでちゅ!」

「じゃ、ちょっとだけ出てみよっか?」

「うん!」

二人はちょっとそばの森をお散歩することになりました。

ニィナはご機嫌でどんどん歩いていきます。

一方のお姉ちゃんは着いていくのがやっとです。

「ニィナ、ちょっと待ってよ」

「どうちたんでちゅか?」

「歩くのはやいね、元気な証拠ってやつだね」

「だって、楽しくてたまらないんでちゅ!」

ニィナには見るものすべてがきらきら輝いてみえました。

どんぐりを見つけては拾ってみたり、川のせせらぎが聞こえたら一目散に走っていったり…

お姉ちゃんはニィナが転んで怪我でもしないかヒヤヒヤしています。

「ニィナ、楽しいかな?」

「もちろんでちゅ!」

「こんなに楽しい場所があるなんて知らなかったでちゅ~!」

「あはは、ただの森だけどね」

「この先は何があるのでちゅか?」

「先?」

「えっと…行き止まりだったような気がするなぁ」

「行ってみるでちゅ!」

「あ、ちょっと!!」

ニィナはお姉ちゃんのことなんてお構いなしに進んでいきます。

落ち葉を踏んでかさかさ音を立てて遊んでたと思ったら、雑草を引き抜いて食べようとしています。

お姉ちゃんはニィナのお世話で精一杯です。

「ほんっと元気だなあ、メルちゃんの10倍は元気だよ」

「私が子供のときってあんなだったっけな?」

「…どうでもいいか」

しばらくして、行き止まりにたどり着きました。

ちょっと開けていて、木漏れ日が差し込んできています。

ニィナはちょこんと座っていました。

「ふぃ~、到着!」

「アタチね、喉が乾いたでちゅ…」

「お、ちょっと待ってね」

お姉ちゃんは持ってきたリンゴジュースを差し出しました。

ニィナはとっても美味しそうに飲み始めました。

「…それにしても、いい場所」

「平和ってこういうことなのかな」

「はい、ありがとうございましたでちゅ!」

半分ほど減ったペットボトルをかばんに入れると、お姉ちゃんも木陰に座り込みました。

「ニィナはさ、お空を飛べるの?」

「お空でちゅか」

「飛べるけど、ちょっとだけ…でちゅ」

ニィナは立ち上がると、羽をぱたぱたし始めました。

すると、宙に浮き出しました。

「お、すごいじゃん」

「すごいでちゅか…えへへ、でちゅ」

ニィナはちょっと高いところにある綺麗な葉っぱをちぎって、持って降りてきました。

「はい、どうぞ!」

「…お、綺麗な葉っぱ」

「ありがと、大事にするね」

「えへん、でちゅ!」

ニィナはお姉ちゃんの隣に座りました。

すっかり懐いたようです。

「ここだけの話ね、メルちゃん毎日お空を飛ぶ練習してるんだよ」

「メルちゃんが?」

「そう」

「今度飛び方を教えてあげるでちゅ!」

「あはは、お願いね」

お姉ちゃんはぼーっとしています。

子供って純粋だなぁ、お姉ちゃんはそう思いました。

ふと、黄色い蝶々が飛んできました。

「おっ、ニィナちゃん…蝶々が来たよ」

「…」

「ん?」

ニィナは寝ていました。

疲れたのでしょうか。

すやすや寝息を立てていかにも幸せそうです。

「…かわいい寝顔だこと」

「私の寝顔なんてさも不細工なんだろね」

「…この前なんて、起きたらメルちゃんがカメラを持ってこっち見てたし」

「はぁ、メルちゃんはいたずらっ子だからなあ」

「ニィナちゃんみたいにいい子になって欲しいもんだよ」

蝶々が飛んで行きました。

二人もそろそろ帰ったほうが良さそうです。

「ニィナちゃん、帰るよ」

「んぅ…まだねんねしたいでちゅ…」

「そう言われても…」

しょうがなく、お姉ちゃんはニィナをおんぶしてあげました。

ニィナは寝たままです。

「ふぅ、軽くて助かるよ」

「それにしてもいい天気だね」

「またメルちゃんを連れてこなくっちゃ」

お家に戻ってきました。

ニィナは相変わらずすやすやと寝ています。

「ニィナちゃん、着いたよ」

「…ふあぁ」

「おはよ」

「…おはようでちゅ」

眠い目をこすってお姉ちゃんを見つめています。

お姉ちゃんはドキッとしました。

ニィナのことが好きになったようです。

「アタチそろそろ帰る時間でちゅ」

「そっか、メルちゃん居なくてごめんね~」

「また来てもいいでちゅか?」

「えへへ、もちろんだよ」

「今度はメルちゃんいると思うからさ、また来てよね」

「わかったでちゅ!」

お姉ちゃんとニィナはお別れの握手をしました。

ニィナのぷにぷにのお手々に触れて、お姉ちゃんはまたしてもドキッとしました。

「ばいばいでちゅ!」

「…あ、ちょっと待って」

「…どうしたのででちゅか?」

お姉ちゃんは手首につけていたシュシュを外すと、ニィナに手渡しました。

「これ、葉っぱのお礼」

「お気に入りのシュシュだからさ…大切にしてくれると嬉しいな」

「貰ってもいいんでちゅか?」

「もちろん、はい…どうぞ」

ニィナは嬉しそうに自分の角に付けてみました。

「あ、可愛い」

「えへへ、でちゅ」

それから、二人はばいばいしました。

ニィナが帰っていくと、お姉ちゃんはさっき貰った葉っぱを見つめていました。

まるで虹色のようなグラデーションのかかった、綺麗な葉っぱです。

「ふふ、宝物にしよっと」

「それにしても可愛い子だったな」

「またケーキ食べさせてあげよっと」

メルちゃんが帰ってきました。

「あ、お姉ちゃんただいま!!」

「おっ、メルちゃんおかえり!」

「さっきちょうどね…」

ニィナはお家に帰ると、疲れたのかごはんを食べてすぐ寝ることにしました。

ふと、角に付けていたシュシュを思い出しました。

「あ、忘れてたでちゅ」
「いい匂いでちゅ」

「アタチの宝物でちゅ!」

ニィナはベッドに入りました。

「明日はどんな日になるかな~、でちゅ」

窓から入ってきた夜風が、優しくニィナの頬を撫でました。

おしまい

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